インフルエンザやCOVID-19感染で“眠っていたがん細胞”が活性化する?
最新研究から見えてきた「炎症」と転移の関係
近年、がん研究の分野で注目されているのが、
**「休眠がん細胞(Dormant Cancer Cells:DCC)」**という存在です。
これは、治療後に体内にわずかに残り、長期間“眠った状態”になっているがん細胞のことです。
そして最近、インフルエンザやCOVID-19などの呼吸器感染症が、
この“眠っていたがん細胞”を再活性化させる可能性を示した研究が話題になっています。
今回は、
- 休眠がん細胞とは?
- なぜ感染症が関係するのか?
- どこまで分かっているのか?
- 過度に怖がる必要はあるのか?
について、わかりやすく解説します。
休眠がん細胞(DCC)とは?
がん治療後、画像検査では「治癒」と判断されても、実際にはごく少数のがん細胞が体内に残っている場合があります。
これらの細胞は、
- 増殖せず
- 免疫から隠れ
- 長期間静かに存在
していることがあります。
これを「休眠がん細胞(Dormant Cancer Cells)」と呼びます。
なぜ突然“再発”するの?
乳がんなどでは、
- 数年後
- 10年以上後
に再発することがあります。
これは、長期間眠っていたDCCが何らかの刺激で再び活性化するためではないかと考えられています。
最新研究で分かってきたこと
2025年に報告された研究では、
インフルエンザやSARS-CoV-2(COVID-19)感染によって、
「肺に存在していた休眠がん細胞が急速に増殖した」
ことがマウス実験で示されました。
特に注目されたのは、
- 感染後数日以内に増殖開始
- 約2週間以内に転移性病変が拡大
した点です。
なぜ感染症でがん細胞が活性化するの?
カギは「炎症」
感染すると体内では、
- IL-6
- TNF-α
- インターフェロン
- 各種サイトカイン
などの炎症シグナルが大量に放出されます。
これが肺の環境を変化させ、
「休眠維持モード」→「増殖モード」
への切り替えが起きる可能性が示唆されています。
特にIL-6が重要視されている
研究では、炎症性サイトカインの一つである
IL-6
が重要な役割を持つ可能性が示されました。
IL-6は、
- 慢性炎症
- がん悪液質
- 免疫異常
- 動脈硬化
などとも関連が深い物質です。
感染時にIL-6が上昇すると、
- がん細胞増殖
- 免疫監視低下
- 微小環境変化
が起こる可能性があります。
「感染=がん再発」ではない
ここは非常に重要です。
今回の研究は主に、
- マウスモデル
- 実験レベル
での研究です。
つまり、
「インフルエンザにかかったら必ず再発する」
という意味ではありません。
現時点では、
- ヒトでどの程度影響するか
- どんな人がリスクが高いか
- ワクチンで防げるか
などは、まだ研究段階です。
しかし“炎症”が再発に関与する可能性は以前から指摘されていた
以前から、
- 肥満
- 喫煙
- 慢性感染
- 歯周病
- COPD
- 睡眠不足
- 慢性ストレス
などの「慢性炎症」が、がんの進行と関係する可能性は指摘されてきました。
今回の研究は、
「急性の強い炎症」も影響する可能性
を示した点で注目されています。
ワクチン接種の重要性も再注目
もし感染による強い炎症が問題なら、
- インフルエンザ予防
- COVID-19予防
- 肺炎予防
は重要になります。
特に、
- 高齢者
- がん既往
- COPD
- 心血管疾患
- 免疫低下状態
では、感染予防が重要と考えられます。
がんサバイバーに大切なこと
再発予防として重要なのは、
「炎症をため込まない生活」
です。
具体的には、
- 禁煙
- 適度な運動
- 良質な睡眠
- 栄養管理
- 歯周病ケア
- 感染予防
- ストレス管理
などが大切です。
過度に不安になる必要はありません
今回の研究は非常に興味深いものですが、
「感染したら再発する」
と断定できる段階ではありません。
しかし、
- 感染症
- 慢性炎症
- 免疫状態
が、がんと深く関係している可能性は、今後さらに研究が進む分野です。
まとめ
最新研究では、
インフルエンザやCOVID-19感染による炎症が、
「眠っていた休眠がん細胞」を活性化する可能性
が示されました。
まだ研究段階ではありますが、
- 感染予防
- 炎症コントロール
- 生活習慣改善
は、健康維持だけでなく、将来的ながん管理にも重要になる可能性があります。
当院では、
- 呼吸器感染症予防
- ワクチン相談
- 慢性炎症ケア
- 統合的健康サポート
についてもご相談いただけます。
気になる症状や不安がある方は、お気軽にご相談ください。


