胸が痛くて苦しい、しめつけられる…といった症状は、
「命の危険がある病気では?」などと不安を感じやすい症状と言えます。
- 階段を上るなどの動作で苦しさがひどくなる
- 眠ろうとしても苦しくて横になっていられない
- 乗り物などで長時間座っていた後、立ち上がると急に息苦しくなる
こういった場合、原因として考えられることにはどのようなものがあるのでしょうか。
胸が苦しい場合に考えられる病気
胸の痛みや苦しさと一口に言っても、その人の病状によって原因は様々です。
ここでは、心臓や血管、または肺や軌道に原因がある場合、それ以外のケースなど、カテゴリーに分けて症状や原因を挙げてみます。
何かひとつでも心当たりがある方は、ぜひ早目の受診をお勧め致します。
心臓や血管の病気
心臓や肺のさまざまな問題によって、胸が苦しい、息苦しいといった病状が起こることがあります。
この記事では、特に緊急性が高いものや代表的なものを中心にご紹介します。
息苦しさの他、意識が遠のく感じや冷や汗を伴う痛みがある時には、速やかに救急病院を受診してください。
狭心症・心筋梗塞・大動脈解離
心臓の筋肉に栄養や酸素を送る血管が動脈硬化(粥腫)によって狭くなるのが狭心症です。また、動脈硬化が破裂するなどして血栓ができ、血管が詰まってしまうと心筋梗塞となります。
狭心症や心筋梗塞では強い胸の痛みがある場合が多いのですが、中には痛みが軽い場合や息苦しさのみで済む場合もあります。
痛みの部位も左胸ではなく、みぞおちや左肩、首や歯が痛いと感じる方もいらっしゃいます。
また、人体で最も重要な血管である内膜、中膜、外膜の3層に分かれていますが、この中膜に血流が入り込み大動脈が拡大したものを「大動脈解離」といいます。胸や背中の激痛が起こり、突然の背中や胸の激痛として感じる場合がほとんどです。
上記の病気はどれも急を要する病気です。苦しさに加えて強い胸の痛みがあれば、できるだけ早くに医療機関を受診しましょう。
不整脈
心臓の脈の打ち方が乱れることをまとめて不整脈と呼び、通常よりも脈が速くなる「頻脈」や、反対に脈が遅くなる「徐脈」、また脈が途中で飛ぶ「期外収縮」と呼ばれるものなどが含まれます。
このうち特に、1分間の脈拍が120以上になると重症な心臓病が疑われます。
動悸や息切れ、胸痛やめまい、ひどい場合は失神などの症状が現れます。
また、1分間に50以下となる「徐脈」でも、心臓が血液を全身へと送れなくなり、息切れや呼吸困難などの症状が現れることがあります。
心不全
心臓は体中に血液を送り出すポンプの役割をしており、それが何らかの理由で正常に機能しないとだるさ、胸の苦しさ、息苦しさなどを自覚します。そうした症状を総称して「心不全」とよびます。
また、上に挙げたようなものに加えて、体や足のむくみ、寝るときに息苦しさが増す、夜に息苦しくなって目が覚めるといった症状も挙げられます。
肺や気道の病気
胸の痛み・苦しさの原因となる、肺や気道の病気として主なものも紹介いたします。
肺炎・胸膜炎
細菌やウイルスなどの病原体が、肺胞に感染して炎症を起こすのが肺炎です。肺炎
や胸膜炎になると肺の機能が落ちることで酸素をうまく取り込めず、苦しさが起こります。胸膜炎はとくに、吸うときにズキンとする激しい痛みを感じることがあり、
胸の苦しさの他、咳・痰や発熱が見られる場合が多いといわれています。
気胸
肺に穴が開き、空気が漏れ、肺が委縮してしまった状態のことです。肺の委縮は、肺から空気が漏れることと、漏れ出た空気が肺を圧迫することで起こります。軽度であれば自然治癒も見込まれますが、重症の場合は重い呼吸障害が起こる場合もあります。
主な症状として咳や胸の痛み、呼吸困難などがあります。特に胸の痛みを感じる場合が多く、気胸を起こしている方の胸に痛みが出ます。とくに身長の高い若年男性に多いとされています。早期の治療を必要とする病気のため、当てはまる場合には早めに受診しましょう。
気管支喘息
喘息は、主にアレルギー性の炎症によって気管支が狭くなる病気です。
炎症をそのままにしておくと、発作が起こりやすい状態が慢性化してしまいます。
慢性化すると、突然の咳き込みや呼吸をするたびにゼイゼイ、ヒューヒューといった音がする喘鳴(ぜんめい)、
息苦しくなる、といった症状が起こります。
気管支喘息といわれたことのある人がこのような症状を感じた場合には、速やかに受診しましょう。
肺塞栓(はいそくせん)
肺塞栓症は肺の血管が突然詰まる病気で、エコノミークラス症候群として知られています。
飛行機のエコノミークラスで旅行すると、狭いシートに同じ姿勢で長時間座ったままになりがちです。
すると、足の血液循環が悪くなって、静脈に血の塊(静脈血栓といいます)ができやすくなります。
長時間の飛行機移動後、飛行機を降りて歩き始めると、静脈血栓は足の血管壁から離れ、血流に乗って肺に移動し、肺の血管(肺動脈)を詰まらせてしまいます。
事前に足を動かすこと、水分補給をしっかりと行うことが予防に重要です。
心臓・肺以外の原因
心臓や肺以外の原因によっても、胸の痛みや苦しさにつながる病気があります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、強い酸性の胃液や胃で消化される途中の食物が逆流し、食道が炎症を起こし、
胸やけや胸の痛みなどさまざまな症状が生じる病気です。
もともと日本人には少ない病気といわれていましたが、食生活の変化などによって、最近訴えられる患者さんが増えています。
胃酸を抑える薬や食事の変更(甘いもの、油物を控える)などで割と早期に改善することが多いです。
パニック障害
パニック障害は、特に身体の病気がないのに、突然の動悸、呼吸困難、めまいなどの発作(パニック発作)を繰り返す症状が起きます。そのため発作への不安が増し、場合によっては外出などが制限されてしまう病気です。
長引くと仕事などができなくなったり、うつ病になることもありますので、的確な診断と早期治療が大切です。
心臓神経症
基本的には心臓には病気がないにもかかわらず、胸痛、動悸などの心臓に関係した訴えがある場合に用いられる病名です。
心臓神経症で感じる胸痛は「チクチク」と表現されるような痛みを感じる場合が多く、このほかにもめまい、手足のしびれ、疲れやすい、頭痛、不眠、不安など多彩な症状を伴うのも特徴です。
受診の目安とポイント
突然起こる胸の苦しさは一刻も早い受診が必要なのはもちろんですが、明らかに症状が悪化し、以前できていた動作が苦しくてできなくなっている場合や、苦しいと感じる場面を何度も繰り返している場合などは早めに受診しましょう。
原因によって専門科目が分かれる場合がありますが、まずは近くの内科や循環器内科などへの受診でよいでしょう。
受診の際には、いつから、どのような症状があり、悪化しているのか・変わらないのか、楽になる時もあるのか、どのようなことをすると悪化するかなどをできるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
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胸の痛みや息苦しさなどの症状には様々な原因が考えられますが、
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その場しのぎの治療ではなく、根本的に胸の痛み・苦しさを治療していきたい、
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