痰(たん)は、のどの粘膜が炎症を起こしたときに出てくる分泌液で、炎症の程度によって状態が変わってきます。

痰の種類

透明~半透明さらさらしている → かぜ、気管支炎(感染症でないもの)
粘性(ねばり)がある → 気管支ぜんそく
黄色粘性(ねばり)がある → 気管支拡張症・慢性気管支炎・細気管支炎・肺炎
緑色インフルエンザや緑膿菌の感染
赤・血が混ざった痰(血たん)気管支拡張症・肺炎・肺がん・肺結核

痰の原因

痰の原因となる「のどの炎症」は、かぜなどの咽頭炎や、のどの乾燥から起こります。

寒い季節や、エアコンなどにより乾燥した空気を吸い込むことで、鼻やのどの粘膜が炎症を起こしやすくなります。
口呼吸をすることで、さらにのどが乾燥しやすくなり、炎症が起きやすくなってしまいます。

また、たばこを多く吸う方は、痰や咳が出やすくなります。
現在たばこを吸っている方・過去に吸っていた方で、痰や咳が長く(3週間以上)続く場合は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疑いがあります。

咳払いや痰切り、強いうがいなどをおこなうと、かえってのどの粘膜を傷つけてしまうことになります。

ちなみに痰が多いと思っている方の中に、別の原因であることもあります。

痰と間違われやすい症状

胃液

痰ではなく胃液が逆流して痰のように思っている方も少なくありません。
その場合は、胃酸を抑える薬漢方薬などを使うことで改善が期待できます。

鼻水

慢性副鼻腔炎や鼻炎が原因で、後ろへ鼻汁が流れ込む症状(=後鼻漏)が原因のこともあります。
その場合は耳鼻科的な対処が必要になることもあります。

痰で起こりうる危険なこと

痰が絡まると以下のような危険があります。

呼吸困難

気管の空気の通りが悪くなり、息切れ、血中酸素濃度の低下などが起こります。

感染症

痰の中の菌がたまり、肺炎などにかかりやすくなります。

疲労感・睡眠障害

痰がからみ、咳が多くなることで疲れてしまったり、眠れなくなったりします。

高齢者は注意が必要

高齢になると、気管が狭くなり、痰がたまってからみやすくなります。

また、咳をする力も弱くなるため、咳で痰を外に出すことが難しくなる場合があります。

痰の予防・対策

去痰薬、漢方薬

体の水分・粘液バランスを整えて痰そのものを少なくします。

禁煙

たばこを吸う方は禁煙なしではなかなか痰がコントロールしにくいのが現状です

乾燥対策

水分をこまめに摂ったり、部屋を加湿したりして乾燥を避けましょう

体位ドレナージ

気管支に流れた痰を出ていきやすくするための姿勢を取ることを「体位ドレナージ」といいます。
痰の溜まっている場所によって姿勢が異なりますので、医師に相談してください。